【本】結果主義のリーダーはなぜ失敗するのか(本田有明)
結果は大事です。結果が製品サービスの質を決め、今後の会社の未来をつくります。しかし、やりかたを誤ると、不祥事やコンプライアンス違反を起こしてしまいます。
働き方改革が推進され、残業ゼロを目指すなかで、現場の私は何に気をつけたら良いのでしょうか。
1.一歩先じて
昔から「段取り八分で仕事は決まる」と言われているとおり、あらかじめ仕事の順序を決めて、自律的に手際よくこなしていくこと。そのためには「れる、られる」の受け身の仕事をできるだけ少なくし「攻めの段取り」をすることがポイントになる。
(第5章.173より)
私は段取りが苦手です。段取りや計画立案をしようとすると、考えすぎて悩んでしまします。その結果手を付けず、蓋を開けてみると、なんで何もやっていないんだということになり得ます。
そう考えると、私が考えて明確なやり方を示せない場合は、メンバーに私から方向性だけでも見出したり、優先度を付け手をつける順序を決めたりしています。
メンバーを信じることが大事で、そのメンバーの結果は私が責任をとる形が良いと思っています。それがチームプレイということではないでしょうか。
段取りが苦手と思っていても、いまの自分ができる範囲の段取りをして、受け身にならないように気をつけたいですね。
2.人を大事にする
PM型リーダーが理想であることは、たぶん誰でも頭ではわかる。しかし厳しい経営環境や、人材の流動化が進む時代状況を反映して、M機能をおろそかにするリーダーの割合が高くなってきた。メンテナンスを意味するM機能は、部下のモチベーションと読み替えてもよいが、これを無視してP機能にばかり依存する人、つまりPm型が急増しているのだ。
(第2章p.61より)
Pはパフォーマンス、Mはメンテナンスを意味するPM理論。PM型はPもMも大事にする、Pm型はPを重んじる、pM型はメンテナンスを重んじるタイプです。
私は、Pのパフォーマンスは結果、Mのメンテナンスは人の気持ちを意味すると解釈します。結果主義はPm型と表現され、そのようなタイプがアメリカでも日本でも見られる現象と、本書は言います。
この上司の言葉には、短い中に承認、感謝、慰労、期待、さらには日ごろの目配りなど、良好な人間関係の構築に必要な要素がいくつも詰まっている。ごく単純化していえば、EQとはこういうことなのだ。この人の部署だけ人が生き生きとして働き、それにともなって生産性が突出して高いのも、理の当然である。
(第2章p.84)
「この上司の言葉」とは、殺伐とした環境であり上司への不満が多い職場で、恐る恐る有給休暇の申請を出した部下が、上司から受けたねぎらいの言葉を指します。この言葉に部下は涙ぐんだというエピソードが、本書では紹介されています。
いくら結果が大事だとは言え、人と人がつくる社会。職場も、お客様も、取引先も、近隣の住人も、人と人とのコミュニケーションがあり、新しいものができていきます。
パフォーマンスばかりを口にし、人の気持ちを察することができなければ、組織はうまくいかない気がします。だから、人を大事にすることは仕事をする上での基本、その上で結果を目指したい。
EQ(心の知能指数)やM(メンテナンス)を大事にするリーダーがいて、良い人間関係があるから結果が出せるのではないでしょうか。そういう組織をつくりたいですね。
3.「覇王の学」ではなく「帝王の学」を
「帝王学」とは、文字どおり帝王や、トップリーダーたる者にふさわしい人徳、識見、行動力を学ぶことであって、戦いに勝てばそれでよいとする「覇王の学」ではない。戦国武将として天下統一をめざしたものの、夢半ばにして家臣に殺された織田信長などは覇王の代表選手といえるだろう。
(第6章p.206)
本書では、 帝王学の代表図書としてマルクス・アウレーリウスの『自省録』をすすめています。
ぜひとも夢半ばで終わらせないためにも、覇王の学ではなく帝王の学を学びたいですね。
まとめ
結果主義という言葉がタイトルに含まれる本ですが、読んでみると非常に人間らしい気持ちを取り戻した感じがします。
あわただしく忙しい毎日を過ごしている人に、改めてどのように仕事をすると良いのか考える良い機会になる本です。