【本】アドラー『人生の意味の心理学』 2016年2月 (100分 de 名著)_④生きていることに価値がある

承認ではなく、貢献感を持つということが「ギブ&ギブ」を生み、自分の人生を生きることにつながるという話をしました。

ではどうしたら貢献感をもつことができるのか、に着目して読み進めていきます。

多くの人は、「自分への関心」しか持っていませんが、他者への関心、つまり、共同体感覚を持っている人だけが、他者に貢献し、そうすることで貢献感を持つことができます。(第4回の頁)

 

アドラーはよく共同体感覚という言葉を使います。上記の引用からすると、共同体感覚とは他者への関心があることのようです。したがって、自分のことだけを考えていては貢献感も持てないということですね。

貢献感を持つためには、自己受容・他者貢献・他者信頼の3つがポイントになりそうです。

自己受容

まず一つ目は「自己受容」です。(中略)この「私」は、他の道具とは違って買い替えたり交換したりすることはできません。どれほど癖があったとしても、この自分と死ぬまで付き合っていくしかないわけですから、それをどう使いこなすかを考えていかなければなりません。そのためには、今の自分に価値があると考え、自分を受け入れる必要があります。(中略)自分を受け入れる一つの方法は自分の短所を長所に置き換えてみることです。(第4回の頁)

私の場合、なかなか自分に価値があると思うのは難しいときがあります。失敗をしたり、もっとこうすれば良いのに出来なかったりしますしね。

しかし一方で、出来ないことばかりではないのです。出来ることがあるのです。出来ることにもう少し目を向けて見ると良いのではと私は思います。

他者貢献

二つ目が「他者貢献(感)」です。(中略)何かをしなくても、自分の存在自体が他者に貢献していると感じられる時、自分に価値があると感じられます。例えば、赤ちゃんは何もできなくても、親にとっては、赤ちゃんが日増しに成長していく姿を見ることはいうまでもなく、生きていることが喜びです。また、寝たきりの親も、生きていることがすでに家族にとって喜びであり、他者に貢献しているのです。(第4回の頁)

私が生きているので誰かが喜んでくれている、とはなかなか実感することはありませんが、周りの人が私にとって居てくれてありがとうと感じることがあります。ということは、逆に私のことを、生きていてくれてありがとうと感じてくれている人がいる、と考えても良いのかもしれません。

生きていることはあまりにも当たり前で、それがありがたいとはなかなか気づかないですし、誰もあえて言葉にして伝えることはないのでしょう。

この本を通して、当たり前のことのありがたさに気づきました。生きていることが貢献なのです。

他者信頼

三つ目が「他者信頼」です。(中略)信頼とは無条件で人を信じることです。(第4回の頁)

アドラー他者を「仲間」という言葉で表現しています。自分の周りの人を「仲間」という言葉で捉えると、私は非常にポジティブな気持ちになります。そうか、敵ではなく仲間なのか。仲間であれば、相談もしやすいし、責めれれることも無いと感じるのです。だから仲間を信頼することはできるのです。

まとめ 

自分が無価値に思うときとはどんなときなのでしょうか。叱責されると、自分に価値がないと思ってしまします。でもあなたの存在はその1点だけで成り立っている訳ではないのです。

いろいろな側面を持っているあなたは誰かしら言葉にせずとも、あなたの存在に感謝しています。大丈夫です。